第 1 章:人生はチャンスとタイミング https://animalmassage-jaam.com/about/

アメリカ、オーストラリアで勉強と研修を終えて、帰国したばかりの
私の前に立ちはだかったのは、「犬にマッサージ? そんなに偉くなったの
か、犬は?」と日本の動物医療の厚い壁だった。 関西中の動物病院を歩
き回り、何度も頭を下げた。けれど、返ってくるのは冷笑と否定ばかり。
半年が過ぎる頃には、あんなに燃えていた情熱も、湿気ったマッチのよう
に冷え切ろうとしていた。
転機は、一頭の落ち着きのないビーグル犬だった。「効果があるなら話を
聞く。」という、試すような獣医師の視線。スタッフたちのクスクス笑
い。 私は覚悟を決めた。 「よっしゃ、勝負だ!」 人生には、たった一
度だけ、絶対に逃してはいけないチャンスとタイミングがある。
台からずっと「カチャカチャ、ウロウロ、」「 はっはっはっ」と
パンティングしているビーグル犬に手をあてた。そのコは私をみて、アイ
コンタクトがとれて、動きが止まった。5分も経たないうちに、目を閉じ
て寝た。ずっとクスクスと笑っている周りの声が消えた瞬間だった。
その日から動物病院でパートとして働きはじめ、3か月がたった頃
に、国産で初の犬用「水中トレッドミル」を作った会社から営業マンが
来た。色々話しているうちに、大企業さんを紹介され、関西で犬の
リハビリセンターの立ち上げに来て欲しいと声をかけられた。また大きい
なチャンスをいただきました。改行を結んでから 1 ヶ月で京セラドームの
大スクリーンにステージでドッグマッサージしている私の映像が生中継
されていた。パート代で食いつなぐ、先が見えない毎日。それでも
『いつかきっと…』と信じ続けたあの日々が、京セラドームの眩しい照明
の下で報われた気がした。
イベント最終日、ふれあい広場の隅で、荒い息を吐きながら横たわる小
さなうさぎ。誰もが『もう助からないでしょうね、』と目を背ける中で、
その力ない瞳と目が合ったとき、私は放っておけなかった。かつて否定さ
れ続けた自分と、どこか重なったのかもしれない。その仔うさぎを連れて
帰りました。仕事に心身を削られる日々の中、私を繋ぎ止めていたのは「この子を守る」という責任感だった。
老眼鏡を通した視界は、皮肉にも、肉眼では見落としていた小さな命の
サインを鮮明に映し出す。それは、私の人生に必要な心のピントが合い
始めた瞬間でもあった。
次回は第1章:人生はチャンスとタイミングの話です。